着物の保管に必要?「たとう紙」の役割とは

公開日:2022/10/15   最終更新日:2022/10/11

着物の保管に使っている紙、あの紙についてなんのために必要なのか疑問に思ったことはないでしょうか。洋服ならタンスにしまうとき、紙に包んだりしないため着物独特のラッピングということになります。着物を包んでいるあの紙は「たとう紙」といいますが、どのような役割があり、本当に必要なものなのかどうか、詳しく解説しましょう。

たとう紙とは

たとう紙とは漢字では「畳紙」と書き、着物を包む紙のことです。もともとは着物だけに使うものではなく、道具類を包むこともありました。包んで保管するだけでなく、包むことでプレゼント用のラッピングの役割もしていたとのことで、このような使い方を始めたのは平安時代ともいわれています。

今はたとう紙といえば、着物を包む紙として知られていますが、購入した時にもたとう紙に包まれていることから、着物の包装紙なのかと思っている人も多いでしょう。確かに、購入した着物を包んでいるものは、販売していた呉服店やデパートなどの名前が入っていることがあります。

しかし、購入後もたとう紙をはがさず着物を包んだままにしておくのが普通、捨ててしまうことはないのでただの包装紙とは違うということになるでしょう。ちなみに「たとう紙」の読み方は「たとうし」「たとうかみ」「たとうがみ」のいずれもOKです。ただの包装する紙ではないたとう紙、その役割についてはつぎに説明しましょう。

たとう紙の役割

実は大事な役割をもって使われているたとう紙、どのような役割があるのかくわしく見ていきましょう。

カビ対策になる

湿気を吸い取り、カビが生えるのを防ぐ働きがあります。日本は湿度が高い気候であり、押し入れなどの収納内に湿気がこもりカビが生えやすいお国柄です。

とくに梅雨時など、かなり気をつけて湿気対策をしても、収納する場所、収納しているもののどちらにもカビが生えることもあります。紙は吸湿性があることから、湿度が高ければ湿気を吸ってくれるので、たとう紙に包まれている着物にカビが生えるのを防いでくれます。

ホコリやチリから防ぐ

タンス、クローゼットに衣類をしまえば、チリやホコリから守られるはずだと思っていませんか。しかし、引き出しや扉をきちんと閉めていても、いつの間にかチリやホコリは中に入り込み、収納した衣類に積もってしまうのです。直接チリやホコリが積もらないようにする、そういった役割もたとう紙にはあります。

防虫にもなる

チリやホコリがつかないようにすることで、さらに虫食いの被害から着物を守ることにつながります。チリやホコリがたまることで、衣類につくカツオブシムシが発生しやすくなるのです。衣類を食べてしまう虫は、絹やウールなどの動物性素材が大好物、着物の素材が絹やウールなどの場合、虫食いの被害が発生する恐れがあります。

たとう紙に包んでおけば、チリやホコリを避け虫の被害も防ぐことができます。素材が化学繊維だから大丈夫と思うかもしれませんが、化学繊維でも食べこぼしや汗などの汚れがついた部分は食べてしまうことがあるので、素材にかかわらず着物はたとう紙に包んでください。

しわになるのを防ぐ

着物を直接タンスに重ねてしまっていくと、どうしてもしわがついてしまいます。しかし、着物一枚一枚をたとう紙に包むことで、重ねておいてもしわがつきにくくなるのです。たとう紙で包むことで、タンスではなく紙袋などに入れた場合でもしわにはなりにくいです。

和紙と洋紙の違い

たとう紙には和紙製のものと洋紙製のものとがありますが、着物を包むのなら和紙製がおすすめです。和紙は繊維が絡み合ってつながっている紙であることから、表面がデコボコしており包んだ着物の偏りや滑ってしまうのを防ぎます。

つまり、しわになりにくいということです。また、表面が滑らかではないことで隙間もできるので、通気性がよくなるというメリットがあります。

交換のタイミングと購入場所について

着物を湿気や虫から守ってくれるたとう紙ですが、永遠に使えるわけではなく寿命があります。見た目にはまだまだいけそうに思えても、年を重ねることで劣化してしまい、カビや虫、シミの発生につながってしまうのです。ですから定期的な交換が必要で、問題なく使用できるのは和紙製のたとう紙で1~2年くらいといわれています。

年数が分からないという人は、着物を包んでいるたとう紙をチェックしてみてください。もし茶色に変色していたり、ポツポツとシミが浮いていたりしたら、それが替え時の目安です。定期的に替える場合、タイミングとしては梅雨明けの時期がおすすめになります。交換するときに、たまってしまった湿気も取り除くことができるからです。

たとう紙の購入場所は?

着物を販売する呉服屋さんで扱っている場合があります。大手の呉服店、着物を扱うデパートなどでは、店舗の名前が入ったたとう紙を販売する着物につけるだけで、たとう紙そのものの販売はしていないこともあります。手軽なのはネット通販で、まとめ買いすることで安くなります。

また、大手の100均ショップでたとう紙ではありませんが、代わりとして使える商品が販売されています。着物の収納袋は、不織布製で通気性に優れている上に袋状でファスナーで開閉するため、簡単手軽に使用できます。

まとめ

たとう紙は着物を大切に保管するために必要不可欠なものです。ただの包装紙だからと外して保管することは避けてください。また、長期間使い続けられるものではないので、定期的な交換が必要です。交換の目安は1~2年程度で、選ぶなら和紙製のものがおすすめになります。

たとう紙を購入するにはネット通販も利用できますが、手軽に安く必要な分だけ購入するなら、100均ショップで代替品を選んでもよいでしょう。

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