着物のしわや傷みを防ぐ!上手なたたみ方を知っておこう
着物を着る機会がそれほどないから、たたみ方なんて覚えなくてもよい、そんなふうに思うかもしれません。しかし、正しくないたたみ方をすれば、見た目が悪いだけでなく着物を傷めてしまうなど、困ってしまう事態になることもあります。レンタルの着物を返却する際にも役立つ、着物のきれいで上手なたたみ方を紹介しましょう。
きれいにたたむとしわや傷みを防ぐことができる
洋服ならいつもたたんでいるからたたみ方も分かる、でもそれほど着る機会のない着物ならたたみ方がよく分からないのではないでしょうか。レンタルなどで借りた着物を返すとき、とにかくたたんであればよいと、洋服のようにたたんでしまえば常識のない人だと思われるかもしれません。
実は、着物は正しくたたまないことで、しわになったり傷んでしまったりすることもあります。洋服のように簡単にアイロンをかけるわけにいかない着物、しわになってしまったら次に着るとき恥ずかしい思いをしてしまいます。
また、着物の生地の中には慎重に扱わなければならないデリケートなものもあります。雑に扱うことで傷んでしまうおそれがあるので、それを防ぐためにも正しくたたむことはとても重要です。
着物のたたみ方にはさまざまな種類がある
着物の正しいたたみ方はひとつではなく、さまざまな種類があります。まず「本だたみ」と「袖だたみ」のたたみ方を紹介しましょう。
本だたみ
着物のたたみ方として、基本中の基本がこの本だたみです。長着や羽織、男物・女物に関係なくこのたたみ方で行います。まず自分の左に衿、右に裾がくるように置き、下前身頃にある脇縫いを折り、つぎにおくみを衿肩あきから裾までを折り返します。
さらに衿の片山から斜めに折り込み衿を合わせ、上前脇縫いをした前に脇に重ねて背縫いを折ります。袖は左から袖付け線から折り後身頃の上に重ねて、下側の右袖を身頃の下に折ります。最後に身頃を衿下から二つに折ります。
袖だたみ
本だたみはきちんとたたむ方法になりますが、袖だたみは仮のたたみ方になります。一時的なたたみ方なので、本だたみよりも手順は簡単です。
まず左右の外袖を合わせて袖山を重ね、左右の後見頃もあわせて脇縫いを重ねます。つぎに重ねた袖を身頃に折り重ねて、肩山と袖山が重なるように整えていきます。あとは身頃を二つ折りにし、さらに二つ折りにして完成です。
そのほかのたたみ方
覚えておきたい基本の本だたみと、一時的に保管しておくときなどのたたみ方である袖だたみを紹介しましたが、それ以外にもつぎのようなたたみ方があります。
・夜着だたみ
男物の紋付き、留袖、正装の長着など、模様や刺繍、紋を傷めないたたみ方です。子どもの着物や夜着などもこのたたみ方で行います。
・襦袢だたみ
名前の通り襦袢(じゅばん)や和装コートなどのたたみ方です。
すべてのたたみ方に共通するポイント
どんな着物をたたむときも明るい場所で行い、着物を広げるところはきれいにしておきましょう。せっかくきれいにたためても、ゴミやホコリがついたり汚れたりしてしまうのはNGです。
着物は汚してしまったら洋服のように気軽に洗濯はできないため、広げる場所はしっかりチェックしてください。たとう紙を敷いてその上でたたむのもおすすめです。模様や紋が入っている部分は保護するために、薄紙をあてておくと安心です。
また、着物はどんな種類でもたたむときは左に衿肩、右に裾がくるように置いてください。着物の場合、一番のポイントは衿をきちんとたたむこと、衿丈は伸ばして整えましょう。
きれいにたたんだ状態を保つには
きれいにたたんだ着物、その状態を保ちつつ持ち運ぶための方法について説明します。
基本の持ち運び方
着物はたとう紙に入れたままではなく、必ず取り出して小さく三つ折りにします。襦袢や帯もたたみ、着物と重ね風呂敷でぎゅっと包みます。下着や紐類は一緒にせず、これらはすぐに取り出せるようにポーチなどに収納します。
旅行や着付け教室へ持ち運ぶときは
いずれの場合も基本で紹介したように、たとう紙から出して小さくたたんでおきます。着物・長襦袢・帯は重ねて風呂敷に包み、旅行ならキャリーケースに入れます。キャリーケースは小さなタイプでも、振袖や訪問着、留袖など一式でもひとつに納めることができます。
着付け教室へ持ち運ぶ場合も、荷物が多ければキャリーケースを使うのがおすすめです。それほど多くない場合は着物専用バックに入れましょう。着物専用バッグは、細かな仕切りがありポケットもたくさんあるため、和装の小物を入れるのに便利です。
軽い場合は紙袋でもOK
自分で着物を持ち運び、美容室などで着付けをしてもらう場合、できれば荷物は少ないほうがありがたいはずです。着付けしてもらう着物一式がそれほど重くない場合は、キャリーケースよりも気軽に紙袋でも持ち運びOKです。
紙袋ではせっかくたたんだのに崩れるかも、と心配になるかもしれませんが、風呂敷でぎゅっと包みコンパクトにすれば大丈夫です。雨や雪など天候が心配なら、紙袋に入れる前にビニールで包んでください。
まとめ
適当なたたみ方では、しわになったり生地を傷めたりするため、着物は正しくたたみましょう。紋や刺繍などが入った着物なら、より慎重にたたむ必要があります。たたみ方として、基本的な本だたみはマスターしておきたいですが、たたんだことがなければ難しいと感じるかもしれません。
しかし、始めてしまえばそれほど難しくはないので、尻込みせずたたんでみてください。きちんと正しくたためばしわにもなりません。また、持ち運ぶときは必ずたとう紙から出し、風呂敷でぎゅっと包みコンパクトにしてから、バッグやキャリーケースなどに入れるようにしましょう。