妊婦さんでも着物はOK?着付けのときに気をつけるポイントは?
妊娠中でも着物は着られるのでしょうか?たとえ妊娠中であっても、上の子の七五三や親族の結婚式などで、着物を着なければならないときがあります。ここでは妊娠中に着物を着るときの着物選びや注意点を解説します。妊娠中の不安はそのままにしてはいけません。必ず解決策を探し、ストレスを減らしましょう。
妊娠中でも着物を着ることは可能か
妊娠中でも着物を着ることはもちろん可能です。昔の人は着物を着て、365日生涯を過ごしていたのですから、当然でしょう。おめでた婚で結婚式を挙げる場合、和装であればお腹が目立たず、苦しくないように着付けられます。和装の結婚衣装だと裾はおひきずり、打掛を重ねて着るので、肌を露出しがちな洋装と違い、妊婦の体を冷やしません。
和装にマタニティの区別はなく、好みの柄を選べます。妊娠中の女性の体は個人差が多く、一概にこうと決められませんが、大体臨月の少し前まで、妊婦さんは着物を着ているようです。安定期に入ってから臨月まで、妊娠初期から6か月までなどさまざまです。自分の体調を充分把握し、必要があれば主治医と相談してから着物を着てください。
妊婦さん用の着物選びのポイント
妊婦さんに向いた着物選びのポイントを紹介しましょう。妊婦さんの体調とお腹の赤ちゃんの健やかな成長を一番に考えて、着物を選んでください。
ポリエステル着物を活用
悪阻のつらい時期はポリエステル、合成繊維の着物をおすすめします。ポリエステル着物は水分に強く、自宅で洗濯できるので、万が一着物を汚してしまっても問題なく対応できるのです。正式な場でポリエステル着物を敬遠する人もいますが、妊娠中といえば納得してもらえるでしょう。妊娠中に親族の結婚式に出席しなければならないときは、ポリエステル着物を検討してください。
柔らかい帯
冠婚葬祭は帯芯の入った固い帯を二重太鼓にして結びますが、妊娠中は少し工夫したほうがよいでしょう。帯芯のない柔らかい帯で、締め付け過ぎないように結びます。ポリエステルの薄めの帯もよいですね。軽くて柔らかい帯は1本持っておくと何かと重宝します。妊娠期間を過ぎたら、帯の間に前板を入れて締めるときれいに結べるでしょう。
羽織があると便利
妊娠中に体を冷やしてはいけません。さっと着られる暖かい羽織を用意しておきましょう。座っているときは畳んで膝の上に載せておくと、下半身が暖まります。羽織を身に着けていれば、帯を緩めに結んでも隠れるうえ、羽織紐を前で結べば膨らんだお腹が目立ちません。
草履は低めのもの
妊婦さんは大きなお腹のせいで自分の足元がよく見えません。着物を着ていて転倒でもしたら大変です。草履はかかと部分が低いものを選んでください。会場入りする直前までスリッパを使うのもよいでしょう。歩くときは少し裾をつまんでなるべく足元が見えるようにしてください。
作り帯を利用する
妊娠後期にお腹が大きくなると、両腕を後に回して力を入れる帯結びの動作が難しくなります。腕と腰に力を入れるとお腹が張る原因になり、大変危険です。自分で着付けができる人でも無理して帯を結ぼうとせず、作り帯を利用してください。作り帯はお太鼓の形ができ上がった状態で販売されており、軽装帯とも呼ばれます。呉服店で「妊娠中なので」と相談すると作り帯を提案される場合もあるでしょう。楽に身に着けられ、早く着上がるので妊婦さんにおすすめです。
伸縮性のある足袋
足袋は伸縮性のあるナイロン製のものを選びましょう。通常の足袋は綿製で、形はきれいに整いますが、伸縮性がありません。妊娠中期から後期は血行が悪くなります。足のむくみを訴える人が多いので、和装の際は柔らかく締付け感が少ない、ナイロン製の足袋がおすすめです。履きやすく、長時間履いていても足がむくみにくいといわれています。
体調に合わせて着物を着よう!
妊娠中は自分の体調ほど優先すべきものはありません。たとえ冠婚葬祭の場であっても、あえて正絹ではなく、ポリエステルの着物で堂々とふるまってください。他者に着付けてもらう場合は、必ず妊娠中であることを着付け師に告げましょう。着付け師は着る人の体調に合わせた着せ方をマスターしています。帯をきつく締め付けず、お腹を安定させる結び方をしてくれるはずです。妊娠初期でお腹が大きくなくても、きつい帯の締付けは気分が悪くなり、嘔吐を誘発します。
着付け中に気分が悪くなったらすぐ腰かけられるように、椅子を用意してもらいましょう。自分で着物を着る人は無理をせず、作り帯や簡単な帯結びで外出してください。会場に着くまでは柔らかい兵児帯を簡単に結び、到着したらお太鼓に結び直すのもよいでしょう。できれば、帯結びの際は近くに誰か頼れる人がいると望ましいですね。もっとも優先すべきは自分の体調です。体調によっては着物を着ない選択も必要となります。
まとめ
妊娠中でも着物は着られます。体の負担にならないよう工夫が必要です。つわりがひどい人はポリエステル着物を利用しましょう。羽織や低めの草履を用意し、柔らかい芯の入っていない帯をゆったりと結びます。着付け師に依頼する際は、必ず妊娠中である旨を事前に告げてください。何よりも体調を優先し、ときには着物を着ない選択も必要です。